私が介護関連の資格を取得していることもあり、当院にご来院されるご高齢の患者様から介護施設での生活についてのご質問をよくお受けいたします。今回は、患者様から寄せられた『パタカラ体操』についてのご質問にお答えします。
目次
Q.デイサービスの昼食前の『パタカラ体操』、再開したんだけど、そもそもこの体操、どんな意味があるの?
A.
新型コロナ感染防止のため『パタカラ体操』を中止していた介護施設が多いようですね。新型コロナが5類に移行して体操が再開されたのでしょう。
さて、ご質問への答えですが、『パタカラ体操』にはムセ[(誤嚥(ごえん)]を予防する効果があります。
高齢者になると口や舌の筋肉が弱ってきます。それが原因で食事をとっているときに、ムセたりします。ムセは、肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすきっかけにもなります。これを防ぐため、『パタカラ体操』で、飲食物を口に入れてから飲み込むまでに使われる口と舌の筋肉を鍛えるのです。
『パタカラ体操』の目的を理解し、大きな声で口と舌の動きを意識して体操しましょう。
鍛えられる口と舌の動き
「パ」:食べ物をこぼさないように口を閉じる。
「タ」:舌で食べ物をつぶす。
「カ」:ムセないように喉(のど)を閉める。
「ラ」:噛み終えた食べ物を喉(のど)に運ぶ。
ご自宅でもお食事前に実践してくださいね。
ご自宅で楽しく『パタカラ体操』
『パタカラ体操』は食事前の大切な作業ですが、毎日「パタカラ、パタカラ、…」とか「パパパ、カカカ、…」では飽きてしまいますよね。ご自宅でお孫さん、ひ孫さんと一緒にお食事を召し上がるご家庭では、ゲーム形式に楽しみながら『パタカラ体操』を続けることができます。
-ゲーム感覚で『パタカラ体操』-
「パ」から始まる食べ物の名前を言って」、「カ」から始まる動物の名前を言って」などとひ孫さんに質問して、その数を競います。
その際、大きな声で答えると、効果的に口の筋肉が強化されます。
このゲームは認知症予防にもなりますのでご家庭で試してみてください。
「いただきます」の前の『パタカラ体操』、続けてくださいね。
(ちょっと脱線…)誤嚥性肺炎について
誤嚥性肺炎の原因の一つに「誤嚥」が挙げられますが、最大の原因は、口の中で繁殖した細菌を含む唾液を寝ている間に吸い込んでしまうことです。しっかりとした歯磨きをして口腔ケアを心がけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。