認知症薬レカネマブについて

「認知症の新たな治療薬レカネマブ、2023年8月に厚生労働省が承認を了承し、年内にも患者への投与が始まる」というニュースが話題になっていますね。

そこで今回は「この薬がもっと早く開発されていれば、母と楽しく過ごせた期間が延びたのに」なんて思いながらレカネマブのポイントをまとめてみました。

どんな薬

「LEQEMBI」(レカネマブ)はエーザイ株式会社とアメリカの会社で共同開発されました。
今までの認知症薬はアルツハイマー病の原因を治療するのではなく、症状を抑える、いわゆる「対症療法薬」でした。それに対し、レカネマブはアルツハイマー病の原因物質そのものを取り除いて、病気の進行に直接働きかける薬という点で「画期的な薬」といわれています。

エーザイでは「進行を27%遅らせることができる」としています。「27%」といわれてもちょっとイメージがつきませんよね。
あるニュース番組では「27%とは言い換えると「ほっておいたら77歳で認知症が悪化してしまうところを、この薬による治療で悪化を80歳まで引き延ばすことができる」といった表現で解説していました。つまり「認知症の悪化を3年抑えることができる」ということですね。

初期のアルツハイマー型認知症の患者にしか効かない

認知症は主に、アルツハイマー型、血管性、レビー小体型などに分類されますが、この薬はアルツハイマー型認知症にしか効果はありません。
更に、アルツハイマー病による「軽度認知障害」という認知症の前段階と「軽度の認知症」の人達がこの薬の投与の対象となります。
つまり、認知症が悪化してしまった人には効果がないということです。

アルツハイマー病の進行を遅らせる薬

「画期的な薬」と注目を集めていますが、この薬でアルツハイマー病が治癒するわけではありません。この薬は、あくまでも「アルツハイマー病の進行を遅らせる薬」なのです。

事前の検査が必要

この薬による治療を始める前に、患者はアミロイドPET検査や脳脊髄液検査を受けて「軽度のアルツハイマー型認知症」であることを確認しなければなりません。

薬の投与方法は2週間に1回の点滴

薬というと飲み薬や注射をイメージしますよね。この薬の投与方法は「2週間に1回の点滴」です。
月に2回の通院は高齢者には負担が大きいですね。

エーザイでは「自宅で患者が注射できるタイプの薬を開発中で2023年度中に米国での承認申請を目指している」そうです。

日本での早期の承認申請に期待したいですね。

脳の腫れの副作用

臨床試験では「脳の腫れ」などの副作用が確認されたそうです。

エーザイでは「MRIを頻繁に撮るようにして脳内をチェックして腫れが診られたら投薬を一時中断する対応をすすめる」としています。

高額な治療費

まだ、レカネマブの薬価(薬の公定価格)が決まっていませんのではっきりしたことは言えませんが、相当高額になるようです。

最後に

「私の母が軽度認知症だった頃にこの薬が実用化されていたら治療を選択しただろうか。
上記のポイントを踏まえて考えてみました。

その頃の母は外出時はシルバーカー(押し車)につかまって歩き、私や父
が母に付き添っていました。

(月2回の通院)
この状態での月2回の通院は私たち家族にとっては負担となりますが、通院で家族が疲弊しないよう、介護タクシーなどを利用しながら通院するでしょう。そして、自宅での皮下注射が実用化されるのを待ちます。

(副作用)
「新薬には副作用はつきもの。副作用がが出たら治療を中断すればいい」と考えています。

(高額な治療費)
下記の2点を考えると薬の価格にみあった効果があると思っています。
一つは、日本には「高額医療費精度」があること。
いくら治療費が高額になってもこの制度で医療費はある程度抑えられます。

もう一つは、自宅での介護が困難になれば介護施設に入所させなければならないこと。
この薬の投与で認知症の悪化が抑えられれば、自宅での介護を続けてグループホームや特養での入所費用を3年分節約することができます。

(結論は)
レカネマブによる治療を選択すると思います。

私たち家族にとっては「母が”‘母らしい”日常生活を送り、家族で楽しく暮らせる時間が3年延びる」という喜びは、月2回の通院や薬の副作用などの不安要素を補って余りあるものがあります。

これは、あくまでも私の母をイメージした個人的な見解です。

最後までお読みいただきありがとうございました。